
現在、世界中の時計愛好家から高い評価を受けているグランドセイコー。
その精度や仕上げ、美しいデザインは海外の高級時計ブランドと比較される存在となりました。 1960年の誕生以来、「世界最高水準の実用腕時計」を目指して技術革新を続け、スイス時計業界へ挑戦してきました。
その過程で誕生した数々の名機は、現在では「ヴィンテージグランドセイコー」として国内外のコレクターから高い評価を受けています。
今回は1960年の初代から、生産中止となる1974年までのヴィンテージグランドセイコーについてご紹介します。
グランドセイコーのヴィンテージモデルは、
- ファースト(初代)
- セルフデータ(57GS)
- 62GS
- 44GS
- 45GS
- 61GS
- 56GS
など様々な人気モデルを発売しています。
そこで今回は、ヴィンテージグランドセイコーの評判や購入前に知っておきたいことを解説します。
■ヴィンテージグランドセイコーの時計に興味がある方
■ヴィンテージグランドセイコーの時計が好きな方
■腕時計を購入検討されている方
はぜひ最後までご覧ください。
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グランドセイコー誕生
ファースト

1960年、初代グランドセイコーが誕生しました。
製造を担当したのは長野県諏訪市の第二精工舎諏訪工場です。
当時の日本製時計は品質向上の途上にあり、高級時計市場では依然としてスイス製時計が圧倒的な地位を占めていました。
その中でセイコーは、
「世界に誇れる最高級の国産腕時計を作る」
という目標を掲げ、グランドセイコー開発が始まります。
当時の位置づけ
当時の日本製時計は「安価で実用的」という評価が一般的で、高級時計として認識されることはほとんどありませんでした。
しかし初代グランドセイコーは、最初から高級機として設計されており、当時の価格は25,000円。
大卒初任給が約13,000円の時代であり、現在価値では数十万円クラスの高級時計でした。
グランドセイコーの理念
現在のグランドセイコーの哲学である「最高の普通」は、
すでにこの初代モデルの時点で形になっています。
こうした実用時計としての完成度を徹底的に追求した思想でした。
キャリバー3180
初代GSに搭載されたのはCal.3180です。
当時のセイコー最高峰ムーブメントをベースに開発された手巻き機構で、以下の特徴を持ちます。
- 手巻き
- 25石
- 毎時18,000振動
- 秒針規制装置付き
- 日差 −3秒~+12秒基準
当時の精度
現在の感覚ではシンプルに見えますが、1960年当時としては非常に高精度で、世界基準でも優れた性能でした。
社内規格ながらクロノメーター基準に匹敵する精度を持ち、初代グランドセイコーは「国産最高級時計」としての地位を確立しました。
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セルフデーター(57GS)

1964年、グランドセイコー初のカレンダー付きモデルとして「セルフデーター(57GS)」が登場しました。
これはグランドセイコーが「高精度時計」から「高精度かつ実用時計」へと進化する重要な転換点となったモデルです。
セルフデーターの意味
「セルフデーター」とはモデル名というよりも、日付表示付きグランドセイコーという意味合いです。
当時の日付機能は高級時計における重要な付加価値であり、セイコーはそれを独自に“セルフデーター”と呼びました。
ファーストGSからの進化
初代グランドセイコー(3180)は非常に高精度でしたが、以下のような仕様でした。
セルフデーターではこれが大きく進化します。
① 日付表示の追加
GS初のカレンダー機能を搭載。
② 早送り機構
セイコー独自の「早送り日付修正装置」を採用。
③ 防水性能の向上
3気圧から5気圧防水へ進化し実用性が向上。
57GSと呼ばれる理由
セルフデーターには主にCal.5722系が搭載されており、コレクターの間では「57GS」と呼ばれています。
前期型と後期型
前期型(43999系)
- 1963〜1965年頃
- Cal.430または初期5722系
- 獅子メダリオン搭載
- クラシカルなケース
- ブラックレター表記
後期型(5722-9990系)
- 1966年以降
- Cal.5722B
- 毎時19,800振動へ向上
- より実用性重視の仕様
CHRONOMETER表記モデル
初期の57GSにはCHRONOMETER表記の文字盤が存在します。
当時のセイコーはスイスのクロノメーター基準に匹敵する精度を持っていたため、この表記を採用していました。
しかし1966年頃から表記は廃止され、GSロゴ主体のデザインへ移行しています。
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62GS

1966年に登場した62GSは、グランドセイコー初の自動巻きモデルです。
それまでの初代GSや57GS、44GSはいずれも手巻きでしたが、62GSによってグランドセイコーは本格的な自動巻き高級時計へと進化しました。
誕生の背景
1964年に57GSセルフデーターが登場し、グランドセイコーは高精度な実用時計として確固たる地位を築き始めます。
しかし当時の時計市場では自動巻きが主流になりつつあり、セイコーも新たな方向性として「GSにふさわしい自動巻き」の開発を進めました。
その答えとして生まれたのが62GSです。
最大の特徴:グランドセイコー初の自動巻
62GSの最大のポイントは、グランドセイコーとして初めて自動巻きを採用したことです。
これによりGSは、精度重視の手巻き時計から、実用性を備えた高級自動巻き時計へと大きく進化しました。
4時位置リューズの理由
62GSの大きな特徴が4時位置のリューズです。
これはデザインだけでなく意味があります。
自動巻きであるため頻繁にゼンマイを巻く必要がなく、その前提を活かしてリューズを目立たない位置に配置しました。
結果として、ケース全体の造形美をより強調する設計になっています。
ベゼルレスケース
62GSのもう一つの革新がベゼルレス構造です。
一般的な時計にあるベゼルを排し、風防をケースいっぱいまで広げることで以下の効果を実現しています。
- ダイヤルが大きく見える
- 光を多く取り込む
- 高級感が増す
この構造は、現代のグランドセイコーにも通じる重要なデザイン要素です。
ムーブメント
62GSには主に2種類のキャリバーが搭載されています。
6245(デイト)
6246(デイデイト)
振動数はどちらも毎時19,800振動です。
短い生産期間と希少性
62GSの生産期間は非常に短く、約1年半ほどとされています。
1966年に登場し、1968年には後継の61GSへ移行しました。
そのため現存数が少なく、ヴィンテージGSの中でも希少性の高いモデルです。
44GS

1967年に第二精工舎亀戸工場から誕生した44GSは、単なる時計ではなくグランドセイコーのデザイン原点と呼ばれるモデルです。
ヴィンテージGSの中でも最も重要な一本として、多くのコレクターや研究家に評価されています。
ファーストGSが誕生の象徴、57GSが実用化の象徴、62GSが自動巻化の象徴だとすれば、44GSはグランドセイコーのデザイン哲学を完成させたモデルです。
誕生の背景
44GSは1967年、第二精工舎(亀戸)によって開発されました。
当時のセイコーは諏訪精工舎と第二精工舎が競い合う体制にあり、その中で亀戸が送り出した代表作が44GSです。
セイコースタイルの確立
44GS最大の功績は「セイコースタイル(グランドセイコースタイル)」の確立です。
デザイナー田中太郎の思想のもと、
“日本独自の美を追求したグランドケース”
を目指して設計されました。
セイコースタイルの特徴
- 他の2倍の幅を持つ12時インデックス
- 多面カットのインデックス
- 鏡面研磨されたガラス縁上面
- 鏡面研磨されたケース平面
- 半ば胴に埋めたリュ―ズ
- フラットダイヤル
- 多面カットの太い時分針
- 接線サイドライン
- 逆斜面形状のベゼル側面とケース側面
これらの要素は現在のグランドセイコーにも受け継がれています。
44GSのデザイン思想
テーマは非常にシンプルで、
「光と影」
です。
面・線・エッジで光と影を演出させる設計により、独特の存在感を生み出しています。
ムーブメント
搭載キャリバーはCal.4420です。
- 手巻き
- 27石
- 毎時18,000振動
- 日差 −3秒〜+6秒
性能も高水準でしたが、44GSの本質はあくまでデザインにあります。
生産期間と希少性
44GSの生産期間は約2年と短く、
1967年登場後、1968年には45GSへ移行しています。
そのため現存数は限られています。
前期型と後期型
前期型
後期型
現代GSとの関係
現行グランドセイコーで多く採用されているのが44GSケースです。
それは44GSこそが、
「誰が見てもグランドセイコーと分かる形」
だからです。
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45GS

1968年に登場した45GSは、第二精工舎亀戸工場が開発した45系ムーブメントを搭載したモデルです。
毎時36,000振動のハイビートを実現し、当時の世界最高水準の精度を誇りました。
ヴィンテージグランドセイコーの中でも「最高傑作」と評価されることが多いモデルです。
誕生の背景
1967年の44GSでセイコースタイルが確立された翌年、さらに高精度を追求して誕生したのが45GSです。
44GSのデザインを継承しながら、ムーブメントは完全に刷新されました。
45系ムーブメント
搭載キャリバーは以下の2種類です。
- Cal.4520A(ノンデイト)
- Cal.4522A(デイト付き)
どちらも毎時36,000振動(10振動)を実現しています。
ハイビートの特徴
振動数が高いことで、
というメリットがあります。
一方で、
という課題もあり、当時としては非常に高度な技術でした。
薄型設計
45GSは手巻き機構のため構造がシンプルで、非常に薄いケースを実現しています。
そのため着用時は「ハイビートとは思えないほど薄い」と評価されることもあります。
デザイン
外装は44GSの流れを汲み、
- ザラツ研磨
- 多面カットケース
- シャープなラグ
- 光と影の表現
といった要素を持ちながら、より洗練されたデザインに進化しています。
2つのバリエーション
4520A(ノンデイト)
シンプルで完成度が高く、コレクター人気が非常に高いモデル。
4522A(デイト)
日付表示付きで実用性に優れています。
評価
45GSはヴィンテージGSの中でも特に評価が高く、
すべてが高次元で融合したモデルです。
そのため現在でも「ヴィンテージGSの最高傑作」と呼ばれることがあります。
44GSと45GSの違い
- 44GS:デザイン重視・18,000振動
- 45GS:精度重視・36,000振動
つまり
44GS=デザイン革命
45GS=精度革命
です。
45GS V.F.A.

45GSにはさらに上位モデルとしてV.F.A.が存在します。 V.F.A.とは Very Fine Adjusted の略称です。 当時の通常GSが日差±3秒~5秒程度だったのに対し、 V.F.A.は 月差±1分以内 という驚異的な基準で調整されていました。
現代でこそクォーツ時計では当たり前の精度ですが、1960年代の機械式時計でこの性能を達成したことは驚異的でした。
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61GS

1968年諏訪精工舎から誕生したのが61GSです。
搭載された61系ムーブメントも毎時36,000振動のハイビート仕様でありながら、単なる高振動モデルではありません。
世界最高峰の自動巻き機械式時計を目指して開発されたモデルです。
誕生の背景
1960年代後半、時計業界は大きな転換期を迎えていました。
- スイスのクロノメーター競争
- 自動巻き機構の高度化
- 精度向上の限界への挑戦
その中でセイコーは「世界最高の実用機械式時計」を目標に掲げます。
そして1968年、諏訪精工舎から61GSが登場しました。同年には亀戸の45GSも誕生し、セイコーの技術競争が頂点に達した時代でもあります。
45GSとの関係
もし45GSが「手巻きハイビートの完成形」なら、61GSはその対となる存在であり、
自動巻きハイビートの完成形
といえるモデルです。
また、諏訪(61GS)と亀戸(45GS)の競争を象徴する存在でもあります。
61系ムーブメント
搭載キャリバーは主に以下の2種類です。
- Cal.6145A(デイト)
- Cal.6146A(デイデイト)
どちらも毎時36,000振動のハイビート自動巻きです。
ハイビート自動巻の意義
当時の自動巻きは18,000〜21,600振動が主流でした。
そこに61GSは36,000振動を実現し、
という実用精度の向上を達成しています。
諏訪精工舎の象徴
61GSは諏訪精工舎によって開発され、
を象徴するモデルとして位置付けられています。
ケースデザイン
外装は実用性と高級感のバランスを重視しています。
- シャープなラグ
- ザラツ研磨の鏡面仕上げ
- 多面カットインデックス
- 高い視認性
- 適度なケース厚
44GSほどの造形的主張はなく、完成度の高い実用高級時計という方向性です。
61GSスペシャル

61GSには通常モデルに加え、
61GSスペシャル(Special Dial)
が存在します。
これは通常より厳しい精度基準で調整された上位仕様で、
として扱われました。
61GS V.F.A.

61GSの頂点がV.F.A.(Very Fine Adjusted)です。
月差±1分以内という極めて高い精度を実現し、1960年代の機械式時計としては到達点に近い性能でした。
代表モデルには:
などがあります。
56GS

1972年に登場した56GSは、ヴィンテージGSの流れの中で「実用性の完成形」と呼ばれるモデルです。
56系ムーブメントは高精度と耐久性を両立し、さらに薄型設計による優れた装着感も魅力でした。
現在でもオーバーホールをしながら日常使いされることが多く、「最も実用的なヴィンテージGS」とも評価されています。
誕生の背景
1970年代初頭は、機械式時計にとって大きな転換期でした。
- クォーツ時計の台頭
- 機械式の役割変化
- 実用性重視の流れ
こうした環境の中で、セイコーは機械式GSの完成度を突き詰めた結果として56GSを生み出しました。
56系ムーブメント
代表キャリバーは以下の2つです。
- Cal.5645A(デイト)
- Cal.5646A(デイデイト)
スペックは以下の通りです。
- 自動巻き
- 毎時28,800振動(8振動)
- ハック機能付き
- 日付・曜日表示
- 高耐久設計
61GSとの違い
61GSが36,000振動のハイビートで精度を追求したのに対し、56GSは
28,800振動で耐久性と実用性を重視
した設計です。
つまり56GSは「高精度の追求」から「長く安心して使える時計」へと方向転換したモデルです。
薄型設計と実用性
56GSは構造の最適化により、ヴィンテージGSの中でも特に薄い設計となっています。
その結果、
- 装着感が良い
- スーツに合わせやすい
- 日常使用に適している
といった実用性の高さが評価されています。
デザイン
56GSのデザインは派手さを抑えた実用美が特徴です。
- シンプルなラウンドケース
- 視認性の高いダイヤル
- バランスの取れたケース構造
「毎日使うための高級時計」という思想が強く反映されています。
代表モデル
- 5645-7010(デイト)
- 5646-7010(デイデイト)
特にデイデイトモデルは実用性の高さから、当時のビジネス層に支持されました。
位置づけ
56GSはグランドセイコーの歴史において、
機械式GSの実用的な完成形
とされるモデルです。
クォーツ化が進む時代の中で、機械式GSの最後の到達点の一つとして位置づけられています。
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ヴィンテージグランドセイコーの終焉と復活
クォーツ革命と機械式GSの終焉 1969年、セイコー クオーツ アストロンが発表されます。
月差±5秒という性能は機械式時計を圧倒しました。
その結果、時計業界はクォーツ革命へ突入したことで、グランドセイコーも1975年に一度生産終了を迎えます。
しかし1988年に復活し、現在では再び世界を代表する高級時計ブランドへと成長しました。
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グランドセイコーの売却について
現在はその価値が見直されつつあるグランドセイコー。
しかしながら、特に今回ご紹介したヴィンテージグランドセイコーを正しく評価してくれる店舗は多くありません。
かんてい局春日井店では、現行のグランドセイコーはもちろん、ヴィンテージに関してもしっかりとその価値をご査定金額に反映させていただきます。
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最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
ヴィンテージグランドセイコーは「現行にはない魅力がある時計」です!
日本の腕時計界のパイオニアとしての高い技術力から、外装・ムーブメントともに一生ものとして満足できるスペックを備えています。
この記事を読んでいただいた皆様には、日本が誇る腕時計「ヴィンテージグランドセイコー」をぜひ一度は所有して欲しいと思います。
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