ロレックスのシードゥエラーとは?歴史や魅力、買取価格などを徹底解説
シードゥエラーは、ロレックスの人気モデルである「サブマリーナー」の上位機種です。「サブマリーナーに似ている」といわれることもありますが、このモデルならではの魅力も多くあり、愛好家も存在します。
今回はシードゥエラーの歴史や魅力といった基礎知識、買取価格・中古価格、人気の型番などについて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ロレックス シードゥエラーとは
まずは、シードゥエラーの概要や、サブマリーナーとの違いについてみていきましょう。
シードゥエラーの概要
シードゥエラーは、サブマリーナーの上位機種として生まれたモデルです。フランスの潜水専門会社「コメックス社」と共同開発したプロダイバー向けの腕時計であることから、「SEA DWELLER=海の居住者」を意味する名前がつけられています。
デザインはサブマリーナーに似ていますが、ヘリウムエスケープバルブ(飽和潜水時に混入するヘリウムガスを自動排出する特殊機構)を搭載しているのが特徴です。
シードゥエラーは、もともとコメックス社に在籍するダイバーへの支給品として開発されたものであったため、一般発売はされていませんでした。しかし、1967年に一般発売モデルのRef.1665が登場します。
開発当初、シードゥエラーの防水性能はその時代のサブマリーナーと同程度でした。しかし、1967年に登場したRef.1665はその約3倍、さらに1978年に登場したRef.16660では1,220m防水を実現しています。
シードゥエラーとサブマリーナーの違い
同じダイバーズウォッチでありデザインも似ているサブマリーナーとシードゥエラーですが、それらの大きな違いは防水性能です。
サブマリーナーが対応できる水深は初代が100m、1950年代後半ごろからは200m、現在のモデルでも300mまでです。
対してシードゥエラーは開発当初こそサブマリーナーと同程度でしたが、一般発売モデルの初代Ref.1665は610m、そして現在では1,220m防水を実現しています。
また、サブマリーナーとシードゥエラーはケースサイズも同じでしたが、2017年に発売されたシードゥエラーRef.126600ではケース径が43mmになり、差別化が図られました。
よく観察するとベゼルのメモリやバックル部分、ケースバック、ケースの厚みなどにも違いがあることがわかります。
そのほか、ニーズにも違いがあります。サブマリーナーはロレックスのなかでも常に高い支持を得ている人気モデルですが、シードゥエラーはあえて定番モデルを外したい方に選ばれる傾向にあります。
ロレックス シードゥエラーの歴史
プロ向けのダイバーズウォッチとして開発されたシードゥエラーの歴史をみていきましょう。
1967年 シードゥエラーRef.1665が誕生
1953年、ロレックスは深海潜水艇バチスカーフ・トリエステ号と協力して、極端な水圧に耐える試作機「ディープシー・スペシャル」のテストを始めました。
強靭なケースや厚みのあるドーム型風防を搭載し、深海の水圧にも耐えられるように設計された試作機は、3,150m・2時間の潜水実験に2度も成功しています。
さらに1960年に誕生した3機目のディープシー・スペシャルは、チャレンジャー海淵にて10,916mの潜水を成し遂げました。
同時期にロレックスはコメックス社から、ダイバーが身に着けていたサブマリーナーの風防が吹き飛ぶトラブルの報告を受けていました。
調査したところ、ケース内部でヘリウムガスが膨張したことが原因であると判明したため、コメックス社と共同で「ヘリウムガスエスケープバルブ」を開発します。ヘリウムガスエスケープバルブとは、飽和潜水時に自動でヘリウムガスを排出する特許機構です。
この機能と「ディープシー・スペシャル」の技術を結集して生まれたのが、初代のシードゥエラーRef.1665だといわれています。
なお、生産初期のRef.1665には、赤文字でモデルロゴが表記された「赤シード」があり、その希少性の高さから高値で取引されています。
1978年 モデルチェンジで初代の2倍にあたる防水性能を実現
1960年代後半に、ロレックスはフリップロックを開発しました。3つに折りたたまれたブレードによってブレスレットの長さを調節でき、ダイビングスーツの上からでも装着できるのが特徴です。
次ぐ1970年には、三重構造のパッキンによって機密性を高めたトリプロックリューズを開発し、シードゥエラーをはじめとする一部のモデルに搭載しました。
そして1978年には、シードゥエラーのセカンドモデルであるRef.16660の販売を開始します。
Ref.16660の登場により、初代モデルの2倍である1,220m防水を達成しました。また、時計の心臓部分であるムーブメントが従来のCal.1570からCal.3035へ変更されたことで、時計本来の精度も高まっています。
その後もシードゥエラーは定期的にムーブメントやベゼルなどを変更し、プロ向けツールとして進化し続けました。なお、初代Ref.1665は1980年代に、第二世代Ref.16660は1991年に生産終了となっています。
2008年 シードゥエラーの正統血統モデルが生産終了に
第二世代シードゥエラーRef.16660が生産終了となった同年、第三世代にあたるRef.16600が発売されます。Ref.16600は2008年まで製造が続いた、シードゥエラーのロングセラーモデルです。
その後、Ref.16600の生産が終了すると、ロレックスの防水技術を総動員した「シードゥエラー・ディープシー」が発売されました。
シードゥエラー・ディープシーについては下記の記事にてくわしく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:「シードゥエラー・ディープシーの特徴と中古価格、買取相場を徹底解説!」
2014年 シードゥエラーRef.116600が復活
シードゥエラー・ディープシーの登場で、シードゥエラーの正統血統モデルは廃番になったと思われていましたが、2014年にシードゥエラー4000 Ref.116600として復活します。「4000」は防水可能水深である1,220mをフィートで示した数値です。
基本的なデザインは過去のシードゥエラーを受け継いでいますが、セラミック素材のベゼルやディープシーと同じ1分刻みのメモリが搭載されるなどの進化を遂げています。
2017年 第5世代シードゥエラーで赤いモデルロゴが復活
第三世代のシードゥエラーRef.16600の生産終了から6年もの歳月を経て誕生したRef.116600ですが、3年後の2017年に生産終了となりました。
同時期に登場したのが第五世代のRef.126600です。Ref.126600ではケースがこれまでの40mmから43mmに変更されたほか、日付の視認性を高めるためにシードゥエラーで初めてサイクロップレンズが採用されています。また、初代シードゥエラーRef.1665を思わせる、赤文字のモデルロゴも復活しました。
2019年 イエローゴールドのコンビモデルが登場
2019年には、シードゥエラーで初めてのロレゾールモデルとなるRef.126603が登場しました。イエローゴールドが使用されているため、通称「金シード」とも呼ばれています。モデルロゴも金文字になっており、高級感があるのが特徴です。
ロレックス シードゥエラーが選ばれる理由
シードゥエラーはサブマリーナーと比べて人気がないといわれることもありますが、実は多くのファンが存在するモデルです。続いては、シードゥエラーが選ばれる理由を、魅力とともにみていきましょう。
魅力1|圧倒的な防水性能
シードゥエラーの大きな特徴は、やはりその圧倒的な防水性能です。プロダイバー向けに開発されたモデルなだけあって、初代からサブマリーナーを超える防水性能を誇っていました。
現行モデルは1,220m防水と、深海での作業にも耐えられるよう設計されています。
魅力2|ダイビングスーツでも快適に装着できる”ダブルエクステンションシステム”
プロダイバーの利便性に配慮した「ダブルエクステンションシステム」もシードゥエラーの特徴です。このシステムのおかげで厚みのあるウェットスーツの上からでも、腕時計を外さずにブレスレットの長さを調節できます。
もともとはシードゥエラー・ディープシーで搭載されたものでしたが、今ではロレックスの全ダイバーズウォッチに採用されています。
魅力3|重厚感のあるケース
ヘリウムガスエスケープバルブを備えたシードゥエラーは、ケースや風防に厚みがあり、その重厚な見た目が一部の層やプロダイバーから支持されています。
ロレックス シードゥエラーの歴代モデル
ここでは、ロレックス シードゥエラーの歴代モデルについて、特徴とともに紹介します。
現行モデル | Ref.126600
Ref.126603 |
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生産終了モデル | Ref.116600
Ref.16600 Ref.16660 Ref.1665 |
初代|Ref.1665
Ref.1665は、コメックス社の協力のもと開発された初代シードゥエラーです。サブマリーナーの3倍ほどの防水性能を有したプロダイバー向けウォッチで、ヘリウムガスエスケープバルブも備えられています。
また、Ref.1665のみ水圧を分散するドーム型風防であるのも特徴です。初期に生産された赤シードは、希少性が高いことから高値で取引されています。
ケース素材 | ステンレススチール |
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ブレス素材 | ステンレススチール |
ケースサイズ | 40mm |
ムーブメント | 自動巻きクロノメーター |
防水機能 | 610m |
ベゼル | 両回転べゼル |
風防 | 強化プラスチック |
キャリバー | Cal.1570 |
パワーリザーブ | 48時間 |
第二世代|Ref.16660
第二世代のシードゥエラーRef.16660は、プロダイバー向けツールとしての完成度を高めたモデルです。ヘリウムガスエスケープバルブを大型化して初代の2倍である1,220m防水を実現したほか、逆回転防止ベゼルも搭載されました。
さらに風防はサファイアクリスタルに、ムーブメントはCal.1570からCal.3035に変更されています。
ケース素材 | ステンレススチール |
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ブレス素材 | ステンレススチール |
ケースサイズ | 40mm |
ムーブメント | 自動巻きクロノメーター |
防水機能 | 1,220m |
ベゼル | 逆回転防止ベゼル |
風防 | サファイアクリスタル |
キャリバー | Cal.3135 |
パワーリザーブ | 48時間 |
第三世代|Ref.16600
第三世代のRef.16600は、シードゥエラーのなかでもっとも長く生産が続けられたモデルです。
デザイン面は第二世代とそれほど変わりませんが、ブレスレットにロックが搭載されたりムーブメントがCal.3135に変更されたりと、細かい部分がブラッシュアップされています。
ケース素材 | ステンレススチール |
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ブレス素材 | ステンレススチール |
ケースサイズ | 40mm |
ムーブメント | 自動巻きクロノメーター |
防水機能 | 1,220m |
ベゼル | 逆回転防止ベゼル |
風防 | サファイアクリスタル |
キャリバー | Cal.3135 |
パワーリザーブ | 48時間 |
第四世代|Ref.116600
第三世代の生産終了後、6年の歳月を経て発売されたのが第四世代のRef.116600です。デザイン面で大きな変更はみられませんが、ベゼルにセラミック素材が使用され、耐蝕性・耐傷性が向上しました。
また、1分刻みのメモリやクロマライトが塗布されたインデックスなどを採用したことで、視認性もアップしています。
さまざまな工夫が凝らされたモデルでしたが、わずか3年で生産終了となりました。
ケース素材 | ステンレススチール |
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ブレス素材 | ステンレススチール |
ケースサイズ | 40mm |
ムーブメント | 自動巻きクロノメーター |
防水機能 | 1,220m |
ベゼル | 逆回転防止ベゼル |
風防 | サファイアクリスタル |
キャリバー | Cal.3135 |
パワーリザーブ | 48時間 |
第五世代|Ref.126600
第五世代のRef.126600は、2017年発売の現行モデルです。初代の赤シードを思わせる赤色ロゴを採用したことや、シードゥエラーで初めてサイクロップレンズが搭載されたことで話題を呼びました。
ケースサイズがこれまでの40mmから43mmに変更され、存在感がアップしているのが特徴です。さらにCal.3235が搭載されたことにより、パワーリザーブが70時間に延長されています。
Ref.126600が発売開始された2年後の2019年には、Ref.126600をベースとしたロレゾールモデルであるRef.126603が誕生しました。シードゥエラー初のコンビモデルであり、イエローゴールドを使った高級感漂う外観が魅力です。
ケース素材 | ステンレススチール |
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ブレス素材 | ステンレススチール |
ケースサイズ | 43mm |
ムーブメント | 自動巻きクロノメーター |
防水機能 | 1,220m |
ベゼル | 逆回転防止ベゼル |
風防 | サファイアクリスタル |
キャリバー | Cal.3235 |
パワーリザーブ | 70時間 |
ロレックス シードゥエラーの定価・中古価格一覧
シードゥエラーを入手したいと思ったときに気になるのが、「いくらで手に入るのか」ではないでしょうか。そこで、シードゥエラーの現行モデルの定価と、生産終了モデルの中古価格の目安を紹介します。
なお、ロレックスは材料費の高騰や円安など、さまざまな理由から定価を改定することがあります。また、中古市場での相場もそのときの情勢によって大きく変動する場合があるため、購入前に現時点での定価や相場を調査することが大切です。
現在発売中の対象モデルはこちら
現行モデルの定価
シードゥエラーの現行モデル、Ref.126600とRef.126603の定価は下記の通りです。
Ref.126600 | 191万1,800円 |
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Ref.126603 | 271万400円 |
※2024年5月時点
生産終了モデルの中古価格
シードゥエラーの生産終了モデルの中古価格は下記が目安です。
Ref.116600 | 210万~230万 |
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Ref.16600 | 130万~140万 |
Ref.16660 | 150~180万程度 |
Ref.1665 | 250~300万程度 |
Ref.1665(赤) | ASK |
※2024年5月時点
ロレックス シードゥエラーの買取価格一覧
購入金額と同時に気になるのは売却価格の相場です。ここではシードゥエラーの現行モデル・生産終了モデルそれぞれの買取価格の目安を紹介します。
現行モデルの買取価格
シードゥエラーの現行モデルの買取目安は下記の通りです。
Ref.126600 | 140万~170万 |
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Ref.126603 | 180~230万 |
※2024年5月時点
生産終了モデルの買取価格
シードゥエラーの生産終了モデルの売却価格は下記が目安です。
Ref.116600 | 150~170万 |
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Ref.16600 | 100万程度 |
Ref.16660 | 90~120万程度 |
Ref.1665 | 170~300万程度 |
Ref.1665(赤) | 200~600万 |
※2024年5月時点
ロレックス シードゥエラーの人気な型番3選
せっかくシードゥエラーを購入するなら、初代Ref.1665や赤シードなどの人気モデルを手に入れたいところですが、これらは希少性が高いため入手するのが困難です。
これからシードゥエラーを購入するなら、中古市場で比較的見つかりやすく、幅広い層に人気な下記の3つから選んでみてはいかがでしょうか。
・Ref.126600
・Ref.116600
・Ref.16600
それぞれ人気な理由とあわせて紹介します。
シードゥエラー Ref.126600
現行モデルのRef.126600は、初代のレアモデルである赤シードと同じく「SEE-DWELLER」のモデルロゴが赤文字で書かれていることから、シードゥエラーファンの人気を集めています。ケースサイズが43mmに変更されているため、大ぶりな腕時計を好む方にもおすすめです。
なお、Ref.126600は何度かマイナーチェンジを行っており、初期に製造されたものと後年に製造されたものとで異なる点があります。
例えば現在販売されているRef.126600の「SWISS MADE」の間には王冠マークが施されていますが、初期に製造されたものにはありません。
通称「ノークラウン」と呼ばれており、王冠マークありのものよりも希少性が高いため、相場価格も上がっています。Ref.126600を入手する際には、このわずかな違いによる価格差にも注目しましょう。
シードゥエラー Ref.116600
Ref.116600は3年で生産が終わった短命モデルです。生産期間が短かった分流通量も少ないため、希少性が高いとして人気を集めています。
短命モデルだからといって性能が劣るわけではなく、むしろ素材の変更や新たなシステムの導入によって耐蝕性・耐傷性・視認性・操作性などが向上しています。
そもそもの本数が少ないため、いつの間にか価格が高額になっていたり中古市場で見かけることが少なくなったりするかもしれません。Ref.116600の購入を希望する場合は、早めに動いたほうが良いでしょう。
シードゥエラー Ref.16600
Ref.16600は、サブマリーナーの人気が高まっていたころに比較対象としてあげられていたモデルで、型番が5桁の「ネオ・ヴィンテージ」と呼ばれるジャンルのひとつです。
状態が良いものは競争率が高く、入荷されてもすぐに売れてしまうため、見かけたらできるだけ早く決断しましょう。
まとめ
サブマリーナーと比較されがちなシードゥエラーですが、高い防水性能や機能性などたくさんの魅力を有していることから、根強いファンが存在します。
人気がないといわれることもありますが、赤シードなどの希少なモデルは相場も高く入手困難です。また、Ref.116600やRef.16600なども人気があり、将来的には市場にほとんど出回らなくなることが考えられます。
定番外しの1本を求めるなら、シードゥエラーを検討してみてはいかがでしょうか。