ロレックス GMTマスターの特徴や人気の型番・市場価値は?
ロレックスのGMTマスターは1955年から販売開始された元祖GMT搭載モデルです。またロレックス唯一のパイロットウォッチでもあります。
2ヵ国以上の時刻を同時に表示できる実用性の高さを兼ね備えているほか、ユニークなデザインに合わせてさまざまな愛称で親しまれてきました。
本記事では、ロレックス GMTマスターの特徴や人気の型番・市場価値についてご紹介していきます。
目次
ユニークな愛称で親しまれてきたパイロットウォッチ「GMTマスター」
「GMTマスター」は、ロレックスがパン・アメリカン航空の国際線パイロットの為に開発したパイロットウォッチです。
主なラインナップとして、GMTマスター(Ⅰ)とGMTマスターⅡ があります。
《GMTマスター(Ⅰ)》
《GMTマスターⅡ》
デザイン性が高く、色遣いに合わせて以下のような愛称で親しまれてきました。
- 「ペプシ」:レッド/ブルー(初代GMTマスター)
- 「コーク」:レッド/ブラック
- 「ルートビア(カフェオレ)」:ブラウン/ブラック、ブラウン/ゴールド
- 「バットマン」:ブルー/ブラック
- 「スプライト」:グリーン/ブラック
さらに、GMTマスターは異なる場所の時刻を把握できる機能を備えており、現在ではビジネスマンや旅行者にも人気があります。
【誕生から現在まで】GMTマスターの歴史
ここからは、GMTマスターの歴史について詳しく解説していきます。
- 1955年 パイロットのための時計として誕生する
- 1960年代 GMTマスターの地位が確立
それぞれ詳しくみていきましょう。
1955年 パイロットのための時計として誕生する
1950年代初頭、「パン・アメリカン航空」では旅客機の運行が始まりました。
パイロットはさまざまな国を飛行機で移動することから、行き来する国それぞれの時間を把握する必要があります。
そこでパン・アメリカン航空は、ロレックスにパイロット用の2箇所の時間が把握できる時計の開発を依頼しました。
ロレックスが開発を開始したのち、1955年に初代GMTマスターを発表しています。発表後はパン・アメリカン航空の公式時計として採用され、圧倒的な信頼性を得ることとなりました。
各国の航空会社の公式時計として採用されることになり、パイロットウォッチとしての地位を確立します。
飛行機を頻繁に利用する富裕層からの希望でゴールドモデルも新たに発売され、人気を高めていきました。
1960年代 GMTマスターの地位が確立
1960年代、ロレックスは世界初の超音速旅客機コンコルドが1960年代に最後のテスト飛行を行った際、英国人とフランス人のテストパイロットがGMTマスターを着用していたことを発表しました。
かの有名なチェ・ゲバラも好んでGMTマスターを着用し、世界各国を飛び回っていました。
ほかにも、さまざまな著名人がGMTマスターを身につけて偉業を成し遂げています。
ここでは、GMTマスターの地位が確立されるきっかけとなった1960年代のエピソードをご紹介していきます。
マッハ2のテストパイロット
スコット・クロスフィールド氏は、1953年にマッハ2を超える速度で飛行した初のテストパイロットとして有名です。
X-15プログラムに参加し、14回のテスト飛行を行いました。テストの際にGMTマスターを着用して参加していたという事実は、瞬く間にGMTマスターの地位を確立させました。
単独世界一周飛行のパイロット
1966年には、イギリス人女性として初めて単発航空機で単独世界一周飛行を成し遂げたシーラ・スコット氏が、ロレックスのGMTマスターを着用していたことが知られています。
彼女はGMTマスターを使って、自分の現在地と目的地の時差を計算し、飛行計画を立てていたようです。
世界初の偉業を成し遂げた際に使用されていたことがわかり、GMTマスターはさらなる地位の確立に成功します。
マッハ6.7のテストパイロット
1967年10月3日には、アメリカ空軍中尉でエンジニアのウィリアム・J・ナイト氏が、ロケットプレーンX-15で、時速7,274 km(4,520マイル)、マッハ6.7という史上最速記録を樹立しました。記録樹立の際も、彼の手首にはGMTマスターがあったとされています。
また、伝説の飛行士として知られるチャック・イェーガー氏も、GMTマスターと関わりの深い人物です。人類で初めて音速を超えたとき、彼はロレックスの腕時計を身につけていました。
1997年の音速突破50周年記念式典では彼の偉業に敬意を示し、音速突破時の愛機X-1とP-51が刻印されたGMTマスターが記念品として贈られました。
1980年~現在 デザイン・機能ともに進化を遂げる
ロレックスのGMTマスターのうち、初代モデルはレッドとブルーのベゼルが特徴的で、プレキシガラス製のベゼルを採用していました。
ここでは、GMTマスターのデザインや機能ともに進化を遂げた1980年代以降について解説します。
1982年
1982年に発売されたGMTマスターⅡは、GMTマスターの後継モデルです。最大3地点の時刻を同時に把握できる点が大きく進化しています。
当時はGMTマスター(Ⅰ)とGMTマスターⅡの2種類が混在していたため、区別するためにGMTマスター(Ⅰ)は黒か赤青のベゼル、GMTマスターⅡは赤黒のベゼルのみのデザインだったようです。
2000年
2000年に性能面が劣ることからGMTマスター(Ⅰ)の製造は廃止され、デザインはGMTマスターⅡに引き継がれています。それにより、これまで1種類のみだったGMTマスターⅡのバリエーションが増えました。
2005年
2005年に発売されたGMTマスターⅡ Ref.116718LNは誕生50周年記念のモデルで、グリーンダイヤルが特徴です。
また、従来のアルミニウム製ベゼルインサートから、耐久性のあるセラミック素材を使用した新しいベゼルに変更されています。
さらに、ベゼルには、24時間目盛りが刻印されており、薄いプラチナでコーティングされているのも特徴です。
2013年
2005年にベゼルがセラミック製に変更されたことで、当時のGMTマスターのカラー展開は黒のみになっていました。しかし、2013年にバイカラーのセラミック製ベゼルの製造に成功し、ブルーとブラックの2色のセラミック製ベゼルが登場しました。
ロレックスは、バイカラーセラミック製ベゼルの製造で特許を取得しています。ブルーとブラックの組み合わせはGMTマスターでは珍しく、「バットマン」の愛称で親しまれました。
2014年
セラミック製のベゼルに変更して以降、「ペプシ」の愛称で親しまれたレッドとブルーのベゼルは製造されていませんでした。しかし、コレクターが待望した復活をここでようやく果たします。
2014年、レッドとブルーの2色のセラミック製ベゼルインサートと、メテオライトダイアルを備えた、ホワイトゴールドのGMTマスター Ⅱモデルが発表されました。
レッドのセラミック製ベゼルの製造は困難を極めましたが、セラミックの中心部までの各粒子の化学組成を変更するなどの先駆的な研究により、無事に成功します。また、ホワイトゴールドを初めて採用したモデルである点も有名です。
2018年
2018年には、GMTマスターに初めてエバーローズゴールドを採用したモデルが発表されます。
独自の合金から作られたモデルと、オイスタースチールとエバーローズゴールドを組み合わせたモデルの2種類が登場しました。
また、24時間目盛り入りで翌年にはブルーとブラックのセラミック製ベゼルもバリエーションに加わっています。
現行モデルGMTマスターⅡの特徴
ここからは、現行モデルのGMTマスターⅡについて以下の5つの特徴を解説します。
- 第2タイムゾーンの時刻を同時表示
- 2色使いのベゼル
- 優れた視認性
- 豊富なバリエーション
- こだわり抜かれたブレスレット
それぞれ詳しくみていきましょう。
第2タイムゾーンの時刻を表示
GMTマスターⅡは、時針、分針、秒針に加え、24時間針と24時間目盛り入りのセラクロムベゼルを搭載しています。
さらに、両方向回転ベゼルにより、2つのタイムゾーンの時刻を同時に表示可能となり、実用性も高いのが特徴です。また、ダイアルの3時位置にある日付表示は、ローカルタイムと同期しています。
2色使いのベゼル
象徴的な2色のベゼルが特徴で、一目でGMTマスターⅡと分かります。なお、両方向回転べゼルには、軽快に回転し24時間目盛りの各位置で確実にカチリと止まる革新的な回転システムの、トリゴナル・スプリングが備わっています。
ベゼルには刻みが入っており、滑りにくいため容易に回せて扱いやすいのも人気の理由です。
優れた視認性
GMTマスターⅡはクロマライトディスプレイを備えているため、暗い環境でも優れた視認性を保てます。
幅広の針やシンプルな形のアワーマーカーに使用されているのは、長時間ブルーの光を放つ素材です。
さまざまな環境・状況でも使いやすく、現在でも多くの方に愛用されています。
豊富なバリエーション
GMTマスターⅡには、モデルによってステンレス・ゴールド・ロレゾール・プラチナなどさまざまな素材が使用されています。
また、ベゼルも以下のように非常に豊富なカラーが展開されています。
- ブルー×ブラック
- ブルー×レッド
- ブラック
- ブラウン×ブラック
- ブラック×グリーン
- ブラック×グレー
デザインに豊富な選択肢があるのも人気の理由でしょう。
こだわり抜かれたブレスレット
1930年代後半に発表されたオイスターブレスレットは、3列リンクの平たい金属ブレスレットで、スポーティな印象です。
《オイスターブレスレット》
一方、1945年に発表されたジュビリーブレスレットは5列リンクのブレスレットで、ややドレッシーな印象を与えます。
《ジュビリーブレスレット》
ジュビリーブレスレットはリンクが5列あるため、しなやかで快適な着け心地を実現しました。
なお、GMTマスターⅡは購入後にブレスレットの変更はできません。購入前にどちらを選ぶか決める必要があります。
《2023年新作 GMTマスターⅡ 126713GRNR》
GMTマスターの人気の型番は?
ここからは、GMTマスターの中でも3つ、人気の型番についてご紹介します。
- 126710BLNR
- 126711CHNR
- 126710BLRO
特徴や販売価格についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
126710BLNR
126710BLNRのオイスタースチールはブルーとブラックのベゼルが特徴のモデルです。
耐久性と研磨性に優れており、過酷な環境下でも美しさを保ち続けます。
しなやかで快適な5列リンクのジュビリー ブレスレットは、1945年のオイスター パーペチュアル デイトジャスト発売に際して、特別にデザインされました。
現在(※)の販売価格は、オイスターブレスレットが154万円、ジュビリーブレスレットが156万9,700円です。
126711CHNR
126711CHNRは、18Kエバーローズゴールドとステンレスのコンビネーションである「エバーゴールドロレゾール」仕様になっています。
ブラウン&ブラックの2色に色分けされたセラミックベゼルを備え、上品で高級感のある時計です。
なお、現在(※)の販売価格は242万9,900円となっています。
126710BLRO
126710BLROは、ブルーとレッドのツートンカラーのベゼルが特徴的なモデルです。
オイスタースチール素材が使用された初代GMTマスターに近い復刻モデルである点が大きな特徴といえます。
オイスターブレスレットは、3列リンクで構成されたセーフティキャッチ付オイスターロックになっており、販売価格は154万円です。
また、しなやかで快適な着け心地が特徴のジュビリーブレスレットの価格は、現在(※)156万9,700円です。
※2024年8月時点
GMTマスターの市場価値
人気の型番としてご紹介した3点の市場価値についてご紹介します。
126710BLNR
116710BLNRの後継機である126710BLNRは、相場が伸び悩んでいました。
しかし、2021年にオイスターブレスレットが販売され、同じ型番で2種類のブレスレットが選べるようになったことにより次第に相場が上昇しています。
現在(※)の買取価格はおよそ250万円です。
126711CHNR
126711CHNRはロレゾールモデルの中でも非常に人気です。
ラグジュアリーで華やかな佇まいが支持されており、現在(※)の買取価格は280万~300万円程度と高値をキープしています。
126710BLRO
2021年に登場した126710BLROは、赤青ベゼルが特徴的な高級感ある時計です。
コロナウイルスの影響で一時的に下がっていましたが、買取価格は、新品・未使用品で約322万円、中古品で約300万円前後となっており、現在(※)も上昇中です。
なお、買取価格はジュビリーブレスレットの方が高めになっています。
※2024年8月時点
GMTマスターを愛用している有名人
日本でも、GMTマスターを愛用している有名人は数多くいます。
- 木村拓哉さん(16713)
- 市川海老蔵さん(16718)
- 京本政樹さん(6542)
- 三代目 J SOUL BROTHERS NAOTOさん(16753)
- おぎやはぎ 矢作兼さん(116710BLNR)
GMTマスターシリーズのご購入を検討された際は、好きな有名人の着用モデルも参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、ロレックス GMTマスターの特徴や人気の型番・市場価値について解説しました。
ロレックスのGMTマスターは、1955年に登場した元祖GMTモデルであり、ロレックス唯一のパイロットウォッチです。
ペプシ・コーク・バットマンなどのユニークな愛称で親しまれており、希少価値が高いものでは現在(※)も買取価格の上昇がみられます。
本記事を参考に、ご自身に合ったGMマスターを見つけてみてください。
※2024年8月時点