【2021年2月14日|追記】
現在、オメガ(OMEGA)の「スピードマスター」の相場が上がっています。
かつてはコストパフォーマンスの良さから、いい時計の代表として「エントリープライス」のモデルのイメージも少なくありませんでしたが、現在は定価の値上がりやメーカーの販促活動なども影響して全体的に相場が底上げされている状態です。
スピードマスターは派生モデルが多いため、大幅に値上がりしているモデルもあれば、まだそこまでの価格帯には突入していないモデルもありますが、スピードマスタープロフェショナル(手巻きモデル)は今後も定価超えのプレミア化が予測される人気のモデルです。
そのため今回の記事ではスピードマスタープロフェッショナル|Ref.3570.50にフォーカスしてお伝えさせて頂きます。
なぜ価格が上がったの?
オメガのスピードマスターの最大の魅力は同じモデルを基本形やコンセプトを変えずにラインナップし続けているという点です。
もちろんマイナーチェンジやスペックアップは行っていますが、基本となるデザインは引継ぎながら作り続けています。
今でもプラスチック風防を採用していることからも、オメガのスピードマスターのデザインを大きく変更しない意図を感じます。
1.技術革新による品質の改善
2.メーカーの販促活動が上手
3.アンティーク・ヴィンテージの相場上昇
1.品質の改善
1999年にオメガは発表した「新・脱進機構」により、ムーブメントの摩耗を最小限に抑えオーバーホールの回数を減らした機能性が著しく高まった「コーアクシャル」ムーブメントを搭載したモデルが発売されます。
2015年には超高耐磁などに代表される厳格な標準規格の認定機のマスタークロノメーターを発表するなどの高い技術力を誇示できたことにより中古品であっても性能が良いとしてニーズが高まり結果としてオメガの人気を押し上げました。
実は残念ながらスピードマスター・プロフェッショナルは「コーアクシャル」ムーブメントや「マスタークロノメーター」の認定は受けておりません。
しかし、この様な技術革新によりオメガのイメージが良くなり相場上昇の要因となったと考えられます。
またこのような技術革新によりメーカー定価が上昇したのも要因となっています。
現行モデルでもあるスピードマスタープロフェッショナル|Ref.311.30.42.30.01.005の国内定価は605,000円(税込み)となっているため中古の相場を押し上げているのも事実です。
2.販促活動が上手
2020年東京オリンピックのタイムキーパーはオメガが契約をしており、スピードマスターの限定モデルを発売するなど販促活動がとても上手だと感心します。
その他のスピードマスターだと「アポロシリーズ」や「スヌーピー」「銀河鉄道999」などの限定コラボモデルなど発売し映画の「007」シリーズのジェームズ・ボンドはシーマスターとタイアップしていたり、定期的な販売が一般顧客やコレクターである、いわゆる「マニア」の心をくすぐる施策が上手だと言わざるをえません。
また私が店頭で接客をして思うのは、オメガは日本人にも外国人にも人気が高いと言う事です。
参照:https://www.omegawatches.jp/ja/watch-omega-speedmaster-anniversary-series-chronograph-42-mm-52230423003002
限定品に関しては外国人の人気に押されている面はあるものの、幅広いファン層はロレックスと同じで相場高騰に繋がりやすいと過去の経験を通して思う事でもあります。
3.ヴィンテージの相場上昇
スピードマスターは1957年の誕生以来「第●世代」という把握がしっかりとされており、文字盤のロゴやブレスレットの種類、夜光塗料の種類などでより細かな区分けがされています。
有名な所だと第5世代の下がり「r」です。
文字盤に書かれているロゴに注目してください。
OMEGA
Speedmaster
PROFESSIONAL
と記載がりますが「r」だけ少し下がっています。
このようにスピードマスターはロレックス同様に型式番号でモデルの世代が特定できたり、シリアル番号でおおよその製造年が特定できたりするなど情報が集まっている事から付加価値が付けやすい状況にあるため、最近ではヴィンテージのスピードマスターは時計愛好家を中心に手ごろに楽しめる時計として注目が集まっているのです。
とは言え5世代のスピードマスターの価格は2021年2月で500,000円を超えており、手ごろに楽しめる時計とは呼びずらくなっています。
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相場上昇のきっかけは?
もともとスペックとしての割安感をもっていたオメガのスピードマスターですが相場が上がったきっかけとは「ロレックスの価格の高騰」です。
一般的に質屋業界では高級時計の「30万~60万」価格帯が売れ筋と言われてきました。
そして、ロレックスの人気モデルはもともとこの「売れ筋の価格帯」に入っていましたが価格の高騰が続き売れ筋の価格帯を超えてしまいました。
このような状況になると私たちは次の主力アイテムを探し始めます。
そこでターゲットになったのが「スピードマスター」です。
オメガはもともと売れ筋の時計が多く、特にスピードマスターは良く売れる時計でした。
2012年から2013年に始まったロレックスの価格高騰が、リユース業界全体に影響を与え結果としてスピードマスターの相場向上につながったと感じます。
スピードマスターの相場
通常のモデルで最も堅調に値上がりを続けているモデルは1996~2014年の期間に作られた第6世代のスピードマスターRef.「3570.50」です。
通常モデル|3570.50
ムーブメント:手巻き(キャリバー|1861)
サイズ:42mm
防水:5気圧(50m防水)
仕様:クロノグラフ
素材:SS(ステンレススチール)
製造期間:1996年~2014年
定価:400,000円(税抜き)
1969年に初めて人類が月を歩いた時の「時計」ムーンウォッチと言えばご存じの方も多いはずです。
1965年にNASAにより全ての有人宇宙飛行と船外活動のために認定された唯一の時計ですが、この後継機種にあたるのがRef.「3570.50」です。
この時にNASAはもちろんロレックスも候補に入っていたそうですが、オメガの手巻きムーブメントの信頼性を選んだと言われています。
このモデルは、私が入社した2000年当時では新品もで10万円台で販売されており、中古品で探せば10万円を切って販売されていました。
それが気付けば2014年ごろから中古品でも販売価格が20万円台が当たり前となり、生産終了となった現在では、付属品がありメンテナンスをされた中古品であれば販売価格は30万円台が当たり前なっています。
今後は更にプラミア価格が付いていきそうですので中古の販売価格が40万円台になるのは時間の問題ではないでしょうか?
(出典:https://kakaku.com/item/K0000691085/pricehistory/)
買取相場|3570-50
もちろん販売金額が上昇しているため買取金額も上がっています。
オメガの時計はコストパフォーマンスが高く、信頼性のあるムーブメントを使用しておりますが、部品点数が多いクロノグラフムーブメントなのでオーバーホールなどの基本料金はシンプルな時計より少し高くなります。
そのためオーバーホールなどのタイミングで現在の時計を下取りに出して新しい時計を購入される方も多くなっているため中古の流通量は安定していますが、それでも価格は高騰し続けています。
状態 |
買取価格【10年前】 |
買取価格【現在】 |
USED-A |
¥100,000前後 |
¥300,000前後 |
USED-B |
¥80,000前後 |
¥250,00前後 |
オメガのオリジナル専用ケースやメーカー発行の保証書(ギャランティカード)などの付属品がそろっている状態で買取金額とはなりますが、10年前と比べても約3倍ほどの買取価格が付くようになりました。
まだ定価を超えるような買取価格とはなっていませんが、オメガの時計は並行輸入店や量販店にて新品でも定価以下の価格で販売されているため、当時の購入金額以上の買取価格になる事も現在では考えられます。
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次は少し珍しい限定のモデルで値上がりを続けているモデルになります。
限定モデル|3578.51
ムーブメント:手巻き
サイズ:42mm
防水:5気圧(50m防水)
仕様:クロノグラフ
素材:SS(ステンレススチール)
製造期間:2003年
定価:350,000円(税抜き)
1970年にオメガはNASAの宇宙飛行士から贈られる、栄誉ある「シルバー スヌーピー アワード」を受賞しました。
アポロ13号の爆発事故の際にコンピュータが使えなくなった乗組員は、大気圏再突入のために自分たちの手で14秒間の逆噴射をする必要がありその14秒間を正確に測り乗組員の命を救ったのがスピードマスターです。
NASAがその功績を称えて贈ったのが「スヌーピー賞」です。
こちらの「スピードマスター・スヌーピーアワード・エディション」は、その受賞を記念して発売された限定モデルです。
アポロ計画当時のスピードマスターの外観を踏襲したデザインに、宇宙服を着たスヌーピーが、裏蓋と9時位置に描かれています。
限定数の5441本は、アポロ13号の活動時間である142時間54分41秒にちなんでいます。
ちなみにですが、2003年当時の通常モデルRef.3570.50「スピードマスター・プロフェッショナル」の定価は340,000円(税抜き)だったように記憶しています。
買取相場|3578-51
発売当初は定価以下の新品でも200,000円台で販売されていました。
それが気付けば、現在(2021年2月)の販売価格は楽天やアマゾンなどの販売モールでは中古品で200万円前後まで価格が高騰しています。
発売か10年程過ぎた2012~2013年頃から人気が上がり始めて2015年にスヌーピーエディションが発売されたときに更にプレミア価格となりました。
状態 |
買取価格
【10年前】 |
買取価格
【現在】 |
USED-A |
¥150,000
前後 |
¥1,200,000
前後 |
USED-B |
¥90,000
前後 |
¥900,00
前後 |
オメガのオリジナル専用ケースやメーカー発行の保証書(ギャランティカード)などの付属品がそろっている状態で買取金額とはなりますが、10年前と比べても約9倍ほどの買取価格が付くようになりました。
限定品のため通常モデルと異なり少し特殊な相場となっていますが、売却を考えいらっしゃる方は是非、一度ご相談して頂けると幸いです。
ではロレックスのデイトナはどうなっているのでしょうか?
ロレックス|16520
ムーブメント:自動巻き|cal.4030
サイズ:40mm
防水:100m防水
仕様:クロノグラフ
素材:SS(ステンレススチール)
製造期間:1988~2000年
定価:650,000円(税抜き)
現在でも傑作名機と言われるゼニス社「エル・プリメロ」をベースにロレックスが独自改良されたムーブメント「Cal.4030」を搭載した現在でもロレックスの人気No.1の時計です。
「エル・プリメロ」はもともと毎時36,000振動ですが、さらなる耐久性を求めるために毎時28,800振動まで抑えています。
そのためテンプを大きくしマイクロステラナットで精度を高めるといったロレックス独自の改良をした傑作ムーブメントとなっています。
デザイン面ではダイヤルカラーはブラックとホワイトの2カラーの展開となっており、サファイアクリスタルカラスを搭載したことにより100mの防水性能になっているます。
ケース径も40mmと今では当たり前のサイズとなっていますが、当時では大型化したケースにリューズガードを搭載しています。
買取相場|ロレックス|16520
発売当初から正規代理店では購入できない時計として並行輸入店や量販店では国内定価以上の価格で販売されていました。
生産終了となって20年以上経ちますが生産終了までに様々なマイナーチェンジを繰り返していますが、特にダイヤルやベゼルの表記等が違う生産初期と、最終仕様となる生産終了間際のA品番、P品番は特に人気が集中しており中古市場ではプレミアム価格となっています。
そのためロレックスのデイトナは製造年数やマイナーチェンジ(仕様変更)前と後で大きく価格が変わってしまうので今回は最終品番にあたる「A品番」の価格を調べてみました。
状態 |
買取価格
【10年前】 |
買取価格
【現在】 |
USED-A |
¥900,000前後 |
¥2,800,000前後 |
USED-B |
¥800,000
前後 |
¥2,600,000
前後 |
ロレックスのオリジナル専用ケースやメーカー発行の保証書(ギャランティカード)などの付属品がそろっている状態で買取金額とはなりますが、10年前と比べても200万ほど価格が上昇しています。
こうして改めてロレックスのデイトナとオメガのスピードマスター・プロフェッショナルを比較するとオメガのスピードマスターはロレックスのデイトナと比べてもまだそこまで高騰しているとは言えないのかもしれませんが、それでも高騰をし続けているスピードマスターには注目する必要があるように感じます。
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スピードマスターの今後の動向
生産終了からまだ6年ほどしか経っていないため、中古品での流通用もまだ多いため急激な価格高騰とはなりづらいと考えますが、徐々に今後も販売価格は高騰していくと思います。
もし購入を考えていらっしゃる方は早めに購入されることをおススメ致します。
また国内外で人気があるロレックスのプロフェッショナルモデル(スポーツモデル)やオメガのスピードマスターは価格が高騰している現在でもまだまだ売れており、国産時計(セイコー・カシオ)で10万円以下の値頃感のあるモデルは質屋業界では売れ筋です。
今後もインターネットでの販売や店頭販売での需要も見込めるため今後も相場が高くなっていきそうです。
オメガのイメージは?
オメガを代表するモデルはの人気のスピードマスターとシーマスターになりますがイメージはかなり良いと言えます。
スピードマスター言えば、オリンピックの公式タイムキーパーを勤めていたり、1969年に人類初の月面着陸が果した「ムーンウォッチ」として有名な話があるように話題が絶えないモデルとなっています。
またシーマスターは、ジェームズ・ボンド役のピアース・ブロスナン及びダニエル・クレイグが着用したダイバーズウォッチがシーマスターであったりとタイアップする映画もヒットするなどスポーツと歴史を感じさせるシーンで使用されているイメージあるため、オメガの人気を高めています。
更に近年ではオメガは1999年に、独立時計師のジョージ・ダニエルズ氏が開発した「コーアクシャル」と呼ばれる新機構をムーブメントに採用しています。
この機構により、機械式時計の心臓部である「調速脱進機」の摩擦を大幅に減らすことができました。
最近のモデルには「マスターコーアクシャル」と呼ばれるムーブメントを搭載されたモデルが多くなり、磁気帯びしやすい鉄部品を減らしたムーブメントに1万5000ガウス以上の耐磁性能も追加され、技術的な革新もブランドイメージを良くしていると考えられます。
どんな人が購入するの?
私たちのお店でもオメガの時計は腕時計ジャンルで常に上位に位置するトップブランドです。
ではどのようなお客さまが購入されていくかと言われると大きく分けて2通りにジャンル分けされます。
ファーストウォッチとして選ぶ
やはりオメガの時計はロレックスに次いで2番目に知名度が高いブランドとなっているため比較検討をされやすいブランドとなっています。
そのため社会人になった時や結婚をされる時に「高級時計」を購入される20代~30代の若い方からも支持される時計となっています。
また価格面でも比較的安価で入手でき中古品で考えると機械式時計が10万円台から購入可能であったりと、ロレックスに比べても価格に身近さを感じます。
コレクションとして選ぶ
オメガの時計には歴史的な魅力と物語があります。
1969年にアポロ11号が人類初の月面着陸を果たした際に、宇宙飛行士のバズ・オルドリンの腕に着用されていた時計がスピードマスターです。
さらに、オリンピックの公式タイムキーパーを務めたり「限定品」を多く発表することもありますが、多くの歴史と物語をオメガはもっているため、多くのオメガファンの方がいらっしゃいます。
そんな私も社会人となり初めての高級舶来時計の購入をしたのは「オメガ」の時計でした。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。60年以上の歴史を持つスピードマスターは進化の止まないオメガのフラグシップとして君臨しています。
現在では、後継機種の7世代Ref.「311.30.42.30.01.005」スピードマスターに譲りましたが、今後はネクストヴィンテージとして1990年代の時計の評価が見直されています。
ロレックスのデイトナ(プロフェッショナルモデル)などに比べるとまだそこまでの相場高騰していないため今後も相場上昇が望める時計となっています。
私はオメガフリークのため、若干の期待も込めてこの記事を書かせて頂きましたが、2000年当時から質屋業界にて20年以上時計を見続けてきた私としても今後の動向が楽しみな時計です。
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ロレックス高騰が一旦落ち着いたように思える現在が実は「一番」の購入時期かもしれないですが、スピードマスター以外のモデルではチューダーのクロノタイムとサブマリーナーの価格がスゴイ事になっています!!
次回はこのモデルで記事を書きますので乞うご期待ください。
本日は最後までお読みいただきありがとうございました。
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