こんにちは(^^♪
かんてい局細畑店です。
このブログはかんてい局で働く鑑定士の私が実際に使用しているグランドセイコーをもとに思っていることや調べたことを記事に致しました。
今回の記事は特にグランドセイコーに
・興味のある方
・購入を検討している方
・所持している方
は是非お読みいただきたい内容になっています。
またグランドセイコーに興味がなくても腕時計に興味のある方や腕時計の購入を検討している方、腕時計の買取を検討されている方もにもお読み頂けると参考になるかと思います。
最後までお付き合いください。
ご自身のグランドセイコーがいくらになるか簡単査定が出来るメール査定をご利用ください。
グランドセイコー
グランドセイコーはセイコーから国の輸入腕時計の関税緩和に伴うスイス高級時計に対抗するためセイコーの中の一つのブランドとして1960年に誕生しました。
「グランドセイコー」は当時のセイコーとしての最高の精度を追求するためにすべての技能・技術を盛り込んだセイコーの中の頂点モデルとしてスタートしています。
今でこそ独立ブランドとなっているグランドセイコーですが当時はセイコーの中の一ブランドとして発進していました。
他にもセイコーからは2019年に「クレドール」も独立化しています。
セイコーとの違いは機械式時計においてより高級路線と精度を求めたものがグランドセイコーということになります。
その精度追及はスイスのクロノメーター規格を国産で初めて合格し初代には「Chronometer(クロノメーター)」の文字をダイヤルに記載していました。
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クロノメーター規格とは
クロノメーターについて簡単に説明させて頂きます。
クロノメーターとだけ聞くとクロノグラフと呼び方が似ているので時計の機能のように思われる方もいるかもしれませんが、簡単にお伝えするとスイスの腕時計の品質を検定する規格です。
正式名称:スイス公式クロノメーター検定機関(C.O.S.C/The Controle Offciel Suisse des Chronometre)
ISOが認証している国際規格となっています。
このクロノメーター規格を合格することはスイスの時計業界で地位と信頼性を得ることになり各時計ブランドがこの規格の合格を求めて切磋琢磨しています。
試験は15日間行われ5つの姿勢差と3つの温度差での一日の誤差(日差)を計るものです。
クロノメーター規格を合格しているブランドとして、ロレックス、オメガ、タグホイヤー、ブライトリング、ゼニスなどが挙げられます。
コンクールへの出場
セイコーからグランドセイコー含め数々のコンクールに参加し上位を獲得してきました。
1964年にはスイスのニューシャテルで行われているニューシャテル天文台クロノメーターコンクールに初出展します。
このコンクールはクロノメーターの審査を行い合格した腕時計にクロノメーターの称号を与え点数制のコンクールの要素も持っているのでコンクール入賞の肩書も付与されます。
測定方法はクロノメーターの内容を45日間行うものでした。
このコンクールですが、各ブランドは入賞という肩書が欲しいだけなのでプロトタイプつまり試作品を出展して市場に出ることはほとんどありません。
出回れば家が建つほどの価格だったそうですが、セイコーは入賞した腕時計を認定書付きで破格の価格で販売してしまったのです。
1964年の初出展以降は年々順位を上げて行きついには1967年に2位という成績を出しスイス主流の腕時計業界に日本の存在感を見せつけました。
このグランドセイコーの出展によりスイスのコンクールで上位を独占しつつあったためコンクール自体が見直され順位の発表を企業だけに伝えるようになったりコンクール自体の中止も出てきました。
1つの例としてジュネーブ天文台コンクールも1968年以降コンクールを開催していないのですが、主催者側はクオーツ式の登場によりコンクール自体の意味がなくなったと伝えています。
実際にはスイス時計以外のグランドセイコーが上位を独占することを避けた結果だと言われています。
その後クロノメーターを上回るグランドセイコー独自の精度基準を設け独自の歩度証明書を出すようになりました。
グランドセイコーの歴史(早見年表)
1881年:グランドセイコーのルーツ「服部時計店」が創業
ロレックスの創業が1905年ですが、それよりも以前ということになります。
1960年:グランドセイコー誕生
セイコーの中の最高級ブランドとして「グランドセイコー」が誕生します。
”世界に挑戦する国産最高級の腕時計をつくる”という志のもと誕生しました。
スイスクロノメーター規格と同等の社内検定を行い歩度証明書付きで販売を開始しました。
1964年:カレンダー機能搭載の「GSセルフデーター」発売
カレンダー機能を搭載した防水性能50mの実用モデル「GSセルフデーター」を発売しました。
同年:ニューシャテル天文台コンクールに初出展
初出展では入賞が0個でしたが1965年に3個、1966年に32個、1967年には62個となり1967年に2位という成績を出して世界を震撼させています。
1967年:44GSの生産開始
現在の原型ともされるデザイン”セイコースタイル”を確立した5振動の手巻き時計が44GSです。
こちらのモデルの発表で世界を震撼させます。
同年:62GS の生産開始
グランドセイコー初の自動巻きモデルでリューズが4時位置にあるのが特徴
1969年:45GS V.F.Aの発売
月差±1分以内のV.F.A(Very Fine Adjusted)は機械式時計の正確さを追求した高精度モデルです。
このモデルがニューシャテル天文台コンクール入賞ムーブメントとして破格の価格で販売されたため世界は震撼しました
1975年:製造の中止
1969年にセイコーが発表したクオーツ式時計により腕時計がリーズナブルで正確なものになり機械式時計の打撃を各ブランドが受けたのと同じくグランドセイコーも影響を受けます。
これが世界を震撼させた「クオーツショック」です。
1988年:高級クオーツ時計として復活
一旦製造の中止をしていたグランドセイコーですが、1988年にまずは高級クオーツ時計として販売を開始します。
機械式時計のブランクがあるグランドセイコーは満足のいく精度を出すことが出来ないということで先行してクオーツ時計の発表を行います。
1993年:9Fクオーツ登場
9Fクオーツは「クオーツを超えたクオーツ」としてグランドセイコーの正確さ、美しさ、見やすさを追求した最高峰のクオーツ時計です。
クオーツ時計は水晶に電圧をかけることで毎秒32,768回振動することを利用して動力に変えて歯車を動かす機械です。
この機械をセイコーが腕時計にしましたが欠点としては力が弱いことでした。
力を必要とする瞬時に日送り出来る機能を初めて搭載したのもこの9Fクオーツです。
またクオーツ時計でありながら手作業での組み上げを行い緩急針を備えることで年差で±10秒以内という高精度の機械です。
1996年:クロノメーター再度挑戦
機械式時計に約20年のブランクがあるグランドセイコーはクロノメーター規格のテストを再度挑戦しました。
初回は4個中3個の合格、さらに50個のテストを受けて50個すべて合格となり復活の兆しとなりました。
1998年:9Sメカニカル登場
機械式時計はゼンマイを動力として針を駆動させる仕組みの腕時計です。
この9Sメカニカルの特徴は何といっても機械式時計に必ず出てしまう日差の軽減です。
機械式グランドセイコーの復活に伴いクロノメーター規格を超える新GS規格を設けて出荷された腕時計は折り紙付きの精度でした。
またGS規格を超えるGSS規格は文字盤に「SPECIAL」と刻印されています。
1999年:9Rスプリングドライブ発表
スプリングドライブ式時計は機械式時計のゼンマイを動力として水晶の正確な振動を歯車に送ることが出来る機械式・クオーツ式の良いところを取り入れたハイブリット機械です。
ハイブリッドの車がブレーキで充電するようにスプリングドライブはゼンマイがほどける力で発電して水晶へ伝達します。
スプリングドライブもクオーツ、メカニカル同様に職人の手によって生み出されています。
2004年:9Rスプリングドライブ搭載モデル発売
発表から5年の歳月を経て発売された9Rスプリングドライブ搭載モデルですが「なぜ5年の歳月がかかったのか?」というとグランドセイコーに搭載するために72時間のパワーリザーブを実現するためでした。
2017年:セイコーから独立し「グランドセイコー」として発進
「SEIKO」の文字が消されセイコーから独立したブランドとして確立されました。
これはさらなる世界への躍進と位置付けてグローバル化とラグジュアリー化の為、1960年から続くセイコーのフラッグシップからの脱却を図りました。
車で例えるなら「トヨタのレクサス」のようなことです。
2017年に独立して以来4年ですが、私たちかんてい局でも以前に比べてグランドセイコーの取り扱いが増えてきていますので、この独立ブランドの展開は成果があったと私個人では思います。
クオーツショックについて
世界を震撼させたクオーツショックついてお話します。
皆さんも聞いた事があるかもしれませんが、腕時計業界を震撼させた「クオーツショック」ですが、この発端がなんと日本のSEIKO(セイコー)なんです。
クオーツ=電池式時計ですが、クオーツ式時計が出る前は腕時計=機械式時計が当たり前でした。
もともとは腕時計は懐中時計から派生し腕時計へと変化しましたが、1969年にセイコーが発表したクオーツ式腕時計「アストロン」で時計業界が震撼します。
クオーツ時計の特徴
ではなぜクオーツ時計が世界を震撼させたのかというと
・精度の正確さ
・低コスト
・使いやすさ
・メンテナンスの手軽さ
・耐久性
が挙げられます。
それぞれ詳しくお伝えしていきます。
世界を震撼させた理由その1:精度の正確さ
一番に上げられるのはやはり精度の正確さになります。
ご存じの方も多いかもしれませんが、機械式の一日の誤差(日差)は高級時計でおおよそ10秒ほどに抑えられます。
ただし月差にすると一日10秒進むと一ヵ月で5分進むことになります。
1960年代当時の腕時計界はいかにこの日差を減らすかに力を注いでいました。
これがクオーツ時計になると一ヵ月の誤差(月差)が±20秒になり今まで注力していた機械式の腕時計ブランドが驚愕したことが分かります。
この精度の正確さが世界を震撼させた一番の理由です。
なぜこの精度を出すことが出来たかはかんてい局の別のブログでご紹介していますので是非ご覧ください。
世界を震撼させた理由その2:低コスト
今でも機械式の腕時計は高級なものばかりですが当時もそれは変わりませんでした。
もちろんその理由は量産が難しいという理由がありますが、クオーツ式の腕時計はその1でお伝えした精度の良さに加えて量産が可能で安価に手に入ることから爆発的な人気を得ました。
世界を震撼させた理由その3:使いやすさ
機械式時計に比べてクオーツ式の時計は使い易さが良かったと思います。
機械式の時計は手巻きであれば、ゼンマイの巻き上げが必要ですしオートマチックの時計でもローターが回らないと巻き上がりません。
ですがクオーツ式の時計は電池の寿命が尽きるまで動き続けるのです。
世界を震撼させた理由その4:メンテナンスの手軽さ
クオーツ式の時計はメンテナンスは電池交換だけです。
機械式の時計であれば3~5年に一度はオーバーホール(分解洗浄)を行い内部の汚れをすべて取り除く必要があります。
その為オーバーホールには時間と費用が大きく掛かってしまします。
その点クオーツ式時計は安価に手に入る電池の交換だけとなりますのでメンテナンスが手軽に出来るようになりました。
ただし機械式の時計はメンテナンスをしっかりと行えば何十年と使用することが出来ますがクオーツ式には寿命があります。
世界を震撼させた理由その5:耐久性
機械式時計と比べてクオーツ時計は耐久性に優れています。
その理由に機械式時計は複雑なパーツが組み合わさり出来ているためです。
少しの衝撃で誤差が生じるようになってしまいます。
一方クオーツ式はある程度の衝撃に耐えれる仕組みになっていますし機械式と違いゼンマイを使用していないので帯磁性にも優れています。
このような理由から機械式時計主流だった腕時計業界でクオーツ式時計の発表は世界を震撼させた出来事と言われます。
それが本日ご紹介するグランドセイコーの親ともいえる日本のセイコーが作り出したクオーツ時計がきっかけだと思うとびっくりですね。
鑑定士から見たGSの良いところ
私から見たグランドセイコーの良さについて3つ上げさせて頂きます。
クロノメーター以上の社内基準
一番は精度の良さが挙げられると思います。
グランドセイコーの機械式時計には自社検定のGS規格があるほど精度にこだわりを持って製造されていますので、お客様からも誤差が少ないという声をよく聞きます。
このGS基準ですが、1998年の機械式時計復活に伴い新たに見直しました。
検査機関:17日間
姿勢差:6姿勢
精度:日差-3~+5秒以内
となっています。
これは前途したクロノメーター規格よりも厳しい規格となっています。
またさらに厳しい規格を設けたGSS(グランドセイコースペシャル)規格も設けています。
飽きの来ないデザイン性
グランドセイコーのコンセプトの一つに「最高の普通」というのがあります。
私はこれを見た目は普通でも中身が最高という意味にといらえています。
外見にとらわれることなく精度、品質にこだわった結果が飽きの来ないデザイン性となっていると思います。
メイドインジャパンのマニュファクチュール
日本が作るモノづくりの一つにグランドセイコーの腕時計も含まれるでしょう。
パーツの一つ一つ設計、開発、製造までもすべて自社生産の日本製です。
岩手県の「雫石高級時計工房」はグランドセイコーの機械式時計の一手を担う工房と長野県の「信州 時の匠工房」はクオーツ式、スプリングドライブの製造を担っています。
この2つの日本の工房により世界でも称賛されるグランドセイコーが発信されているのが魅力です。
実際に使用してみて
私自身グランドセイコーを所有し仕事では毎日愛用しています。
購入してから5年以上立っていますが、やはり一番は飽きないデザイン性です。
シンプルながら高級感があり嫌味のないところが魅力です。
もともとはステンレスベルトのモデルですが、仕事で使用していますので革ベルトに変更しています。
GSは横穴式が多いのでブレスレットの変更も手軽に出来るのが魅力です。
次に私がグランドセイコーを選んだ理由はコストパフォーマンスです。
これまで述べてきたようにデザイン性や精度の高さは十分に伝わったと思いますが、私はコストパフォーマンスに優れていると思い購入しました。
私が愛用しているのは9Fクオーツのモデルですが、中古価格では15~20万円程の価格で購入が出来ます。
またクオーツの精度もさることながらメンテナンスの手軽さも仕事使いにちょうどいいと感じています。
鑑定士オススメ買うならこのモデル5選
1.SBGX259
9F クオーツモデル
まさにザ・グランドセイコーを印象付ける一本です。
サイズ系はこちらのSBGXの37㎜が一番良いと私は感じています。
私が使用しているタイプの最新版まさに鑑定士がお勧めする一本です。
2.SBGA301
9Rスプリングドライブ
やはり外せないのがスプリングドライブ機構の9Rモデルです。
40mmケースのスプリングドライブは歴史にも名を残すような至極の一本です。
3.SBGR321
9Sメカニカル グランドセイコー60周年記念モデル
昨年2020年に60周年限定で発売されたモデルです。
ネイビーの文字盤に先端の赤い秒針がお洒落な一本です。
4.SBGE257
9Rスプリングドライブ GMT
2020年の人気カラーグリーンを用いた一本です。
スプリングドライブにGMT機能を備えたモデルが印象的です。
5.SBGR309
9Sメカニカル
42㎜モデルのメカニカルモデルです。
オーソドックスですが42㎜と存在感があり9FクオーツのSBGXとはまた違う印象です。
セイコーの買取実績もご覧ください。
👇実際に買い取った金額を公表しています👇
最後に
いかがでしたでしょうか?
グランドセイコーは大変奥の深い時計だとお分かり頂いたかと思います。
私自身も使用していることもあり鑑定士から見てもとても良い時計となっております。
この記事を見てグランドセイコーに興味を持っていただけると幸いです。